「まさかお姉ちゃんが石堂さんに直接会って、ICレコーダーを渡してたなんて……。それに、ここでお姉ちゃんに会えるとも思ってなかったから、びっくりした」
「え……どうして、ICレコーダーのことを里美が知ってるの?」
不思議そうな顔をしている姉に、私はレストランで起こった一連の流れを全部話した。
「あっはは! そうだったのね! 私はただ、お母さんと一ノ宮さんの会話を録音したものを、石堂さんに届けただけだったんだけど……まさか、そんなシチュエーションであのレコーダーが役に立つとは思わなかったわ」
私の話を聞くと、姉は声を立てて大笑いして、何度も思い出してはまた笑っていた。
「本当、石堂さんには感謝してもしきれない、あのふたりにあっついお灸を添えてくれたんだもの……だけど、お母さんのことは……本当に迷惑かけてしまったわ、ごめんなさい」
姉はふわりと笑顔を見せたけれど、母の話になると、その表情に影がよぎった。
確かに姉は母と同じように裕福な暮らしをしてきた。けれど、彼女は母と違って、自分を見失ってはいない。昔のままの姉だった。すると、姉は姉の今までの経緯があるようで、それをどこから話そうかと、言葉を考えているようだった。
少し俯き加減で黙っていたけれど、姉はゆっくり私を見つめ、その口を開いた。
「え……どうして、ICレコーダーのことを里美が知ってるの?」
不思議そうな顔をしている姉に、私はレストランで起こった一連の流れを全部話した。
「あっはは! そうだったのね! 私はただ、お母さんと一ノ宮さんの会話を録音したものを、石堂さんに届けただけだったんだけど……まさか、そんなシチュエーションであのレコーダーが役に立つとは思わなかったわ」
私の話を聞くと、姉は声を立てて大笑いして、何度も思い出してはまた笑っていた。
「本当、石堂さんには感謝してもしきれない、あのふたりにあっついお灸を添えてくれたんだもの……だけど、お母さんのことは……本当に迷惑かけてしまったわ、ごめんなさい」
姉はふわりと笑顔を見せたけれど、母の話になると、その表情に影がよぎった。
確かに姉は母と同じように裕福な暮らしをしてきた。けれど、彼女は母と違って、自分を見失ってはいない。昔のままの姉だった。すると、姉は姉の今までの経緯があるようで、それをどこから話そうかと、言葉を考えているようだった。
少し俯き加減で黙っていたけれど、姉はゆっくり私を見つめ、その口を開いた。



