私は今朝の石堂さんとの電話で、確かに彼がそう言っていたのを思い出した。あの時は、母のせいで気が散ってしまい、話を聞く余裕がなかった。
「すみません、私……ろくに話を聞かずに……」
あの時、石堂さんは、今日の午前中付けで本社へ戻るって、そう私に言いたかったんだ――。
ちゃんと石堂さんの話を聞いてあげられなかったことを、私はいまさら後悔する。
石堂さんと仕事ができなくなるのは寂しい。けれど、それは始めから決まっていたことなのだ。ここで名残惜しい気持ちを言葉にしてしまえば、きっと石堂さんを困らせてしまう。
石堂さんのいない場所、私はそれを受け入れなければならない。彼がそばにいなくても、バリスタとして、私はカウンターに立つ。それはもう、私にとって使命のようなものだ。
石堂さんが安心できるように、頑張らなきゃ――。
「私、午後から仕事に行きます。まだ間に合いますし」
「いいのか?」
石堂さんは、心配そうに私を見つめる。
「大丈夫です、お見合いもなくなりましたし、それに……石堂さんから、気持ち聞けましたから、いつも以上に張り切って頑張ります!」
拳をぐっと握って気合を入れる。そして、石堂さんにニコリと笑いかけると、石堂さんは安心したように笑って、私の頭にポンと手を載せた。
「すみません、私……ろくに話を聞かずに……」
あの時、石堂さんは、今日の午前中付けで本社へ戻るって、そう私に言いたかったんだ――。
ちゃんと石堂さんの話を聞いてあげられなかったことを、私はいまさら後悔する。
石堂さんと仕事ができなくなるのは寂しい。けれど、それは始めから決まっていたことなのだ。ここで名残惜しい気持ちを言葉にしてしまえば、きっと石堂さんを困らせてしまう。
石堂さんのいない場所、私はそれを受け入れなければならない。彼がそばにいなくても、バリスタとして、私はカウンターに立つ。それはもう、私にとって使命のようなものだ。
石堂さんが安心できるように、頑張らなきゃ――。
「私、午後から仕事に行きます。まだ間に合いますし」
「いいのか?」
石堂さんは、心配そうに私を見つめる。
「大丈夫です、お見合いもなくなりましたし、それに……石堂さんから、気持ち聞けましたから、いつも以上に張り切って頑張ります!」
拳をぐっと握って気合を入れる。そして、石堂さんにニコリと笑いかけると、石堂さんは安心したように笑って、私の頭にポンと手を載せた。



