「……先日、いきなり母が目の前に現れたんです。それで、石堂さんの婚約者が私の姉だと聞かされて……叶わない想いを断ち切るためには、母に従ったほうがいいって、そう思ったんです」
声が震えだし、目頭が熱を持つ。気が付けば、大きな雫が目尻からこぼれて頬を伝っていた。
「石堂さん、私……やっぱり、石堂さんのこと、忘れることなんかできない、石堂さんが私を好きでいなくても……それでも、私……石堂さんのことが好きなんです」
子供のようにしゃくり上げて、私はただ石堂さんへの想いを並べる。そんな私を見て、石堂さんは、やれやれというように小さく笑うと、こぼれた涙のあとを親指で拭った。
「全部説明すると長い話になる……お前の好きはもういい加減聞き飽きたな」
「え……?」
「だから今度は俺の番だ」
急に真摯な顔つきに変わって、石堂さんが私を見つめると、ドクンと大きく胸が波打った。
「お前のこと、好きだ」
「へ……?」
今、なんて……? 好きって、言った……よね――?
「嫌いだなんて言いつつも、本当は、お前のこと、ずっと見てた。馬鹿みたいに一生懸命で、諦めることも知らなくて……そう言うところも全部、俺は……完全にお前に惚れてる」
石堂さんのひとことひとことが、私の胸を震わせる。涙を拭った親指は、やがて私の唇をそっとなぞる。
「石堂さん……それって……それって、私の想いが通じたって思っていいんですか?」
信じられない気持ちでいっぱいだった。石堂さんが、私を好きだなんて……。
「好きな人のことは信じるんじゃなかったのか?」
目を細めて、柔らかく微笑む彼の表情は、このうえなく優しくて、とろけてしまいそうな視線を私に向ける。
「石堂さん……」
私を熱く見つめる石堂さんの視線と絡み合う。すると、石堂さんがゆっくりと腰をかがめて私に唇を落とそうとした。
するとその時だった。
声が震えだし、目頭が熱を持つ。気が付けば、大きな雫が目尻からこぼれて頬を伝っていた。
「石堂さん、私……やっぱり、石堂さんのこと、忘れることなんかできない、石堂さんが私を好きでいなくても……それでも、私……石堂さんのことが好きなんです」
子供のようにしゃくり上げて、私はただ石堂さんへの想いを並べる。そんな私を見て、石堂さんは、やれやれというように小さく笑うと、こぼれた涙のあとを親指で拭った。
「全部説明すると長い話になる……お前の好きはもういい加減聞き飽きたな」
「え……?」
「だから今度は俺の番だ」
急に真摯な顔つきに変わって、石堂さんが私を見つめると、ドクンと大きく胸が波打った。
「お前のこと、好きだ」
「へ……?」
今、なんて……? 好きって、言った……よね――?
「嫌いだなんて言いつつも、本当は、お前のこと、ずっと見てた。馬鹿みたいに一生懸命で、諦めることも知らなくて……そう言うところも全部、俺は……完全にお前に惚れてる」
石堂さんのひとことひとことが、私の胸を震わせる。涙を拭った親指は、やがて私の唇をそっとなぞる。
「石堂さん……それって……それって、私の想いが通じたって思っていいんですか?」
信じられない気持ちでいっぱいだった。石堂さんが、私を好きだなんて……。
「好きな人のことは信じるんじゃなかったのか?」
目を細めて、柔らかく微笑む彼の表情は、このうえなく優しくて、とろけてしまいそうな視線を私に向ける。
「石堂さん……」
私を熱く見つめる石堂さんの視線と絡み合う。すると、石堂さんがゆっくりと腰をかがめて私に唇を落とそうとした。
するとその時だった。



