「お母さん、どういうことなの? お姉ちゃん、石堂さんと婚約するって、そう言ったよね? だから私にこの話しを持ってきたんでしょう?」

石堂さんは、お姉ちゃんの婚約者じゃなかったの――?

なにがなんだかわけがわからない。困惑する私に、しばらくすると母が口元に笑みを浮かべて言った。

「石堂さん、もしかして智美ではなくて里美のほうが好みだったのかしら? でも、智美とはまだ一度もお会いになっていないでしょう? 智美は――」

「お言葉ですが、智美さんとはすでに会ってますよ、ちなみに彼女も私とお見合いをする気は一切なかった。先日、スフラの本社にひとりでいらっしゃったんです。本当に、里美さんと瓜二つで驚きました」

「な、なんですって……?」

にこやかな笑顔の石堂さんに、母は驚きで目を見開く。