閉店後。
目まぐるしい一日が終わった。
――不味い。
今日来た女性客に言われた言葉がずっと頭にこびりついて離れない。誰もいない店内を掃除しながら、厳しい現実を突きつけられ、何度も何度もため息をついた。
「さーとみ!」
後ろからぽんっと肩を叩かれて、振り向くとすでに私服に着替えた怜奈がいた。
「もしかして、今日のお客さんのこと気にしてる?」
「う、うん……」
「雅人さんも心配してたけど……大丈夫?」
自分はどんな辛気臭い顔をしていたのだろう。ふたりに気を遣わせて肩身が狭い。
「なんだかんだ言ってさ、なんとかやりきったじゃない、里美のおかげだよ」
怜奈は私の沈んだ気持ちとは裏腹の眩しい笑顔を向けてくる。
いつもなら、すぐに笑顔で立ち直れることも、今日に限っては無理そうだ。
「あ、真中さんも花岡さんも、今日はお疲れ様でした。本当にありがとうね」
レジ金を確認し終わって、売上金を金庫へしまった雅人さんが休憩室から出てきた。
「ふたりとも頑張ったね。慧なんかいなくったって、僕ら三人で十分だ」
陽気に雅人さんが笑うと、「ですよねー」と怜奈も相槌を打つ。ふたりは忙しい日をやりきったという達成感でほっとしたような表情をしている反面、私の気持ちは複雑だった。
あぁ、もう! うじうじしない――!
目まぐるしい一日が終わった。
――不味い。
今日来た女性客に言われた言葉がずっと頭にこびりついて離れない。誰もいない店内を掃除しながら、厳しい現実を突きつけられ、何度も何度もため息をついた。
「さーとみ!」
後ろからぽんっと肩を叩かれて、振り向くとすでに私服に着替えた怜奈がいた。
「もしかして、今日のお客さんのこと気にしてる?」
「う、うん……」
「雅人さんも心配してたけど……大丈夫?」
自分はどんな辛気臭い顔をしていたのだろう。ふたりに気を遣わせて肩身が狭い。
「なんだかんだ言ってさ、なんとかやりきったじゃない、里美のおかげだよ」
怜奈は私の沈んだ気持ちとは裏腹の眩しい笑顔を向けてくる。
いつもなら、すぐに笑顔で立ち直れることも、今日に限っては無理そうだ。
「あ、真中さんも花岡さんも、今日はお疲れ様でした。本当にありがとうね」
レジ金を確認し終わって、売上金を金庫へしまった雅人さんが休憩室から出てきた。
「ふたりとも頑張ったね。慧なんかいなくったって、僕ら三人で十分だ」
陽気に雅人さんが笑うと、「ですよねー」と怜奈も相槌を打つ。ふたりは忙しい日をやりきったという達成感でほっとしたような表情をしている反面、私の気持ちは複雑だった。
あぁ、もう! うじうじしない――!



