何気なく過ごしていたOL時代よりも、今のほうが生き生きとしている自分がいる。それもスフラで仕事をし、石堂さんと出会ったからこそだと思う。

よし! もう少しで完成できそう――!

時はすでに深夜二時を回っていた。自宅で眠たい目をこすりながら、私はクリスマスメニューを宣伝するべく、店頭に飾るボードを着々と進めていった。早くこのボードを仕上げて飾りたい。そんな気持ちがどうしても急いてしまう。

今日は徹夜かな――。

でも、石堂さんが喜んでくれるなら――。

そんなことを思いながらペンに伸ばした指先をふと見た。

指の切り傷には、お風呂上がりに貼り替えたばかりの絆創膏。この指を見るたびに、あの時、石堂さんに支えられた瞬間を思い出してしまう。咄嗟のことだったとはいえ、がっちり腰に回された腕の感触が胸を疼かせる。

もう、何考えてるんだろ私――。

無意識に石堂さんが浮かんでしまい、まるで好きな人を考えているようで、私はパンパンと両頬を挟むように叩く。

今はボード作りに集中しなきゃ――!

その前に、私は眠気覚ましにコーヒーを淹れることにした。