「わかってます! 私、頑張りますね」

意気揚々と拳をぐっと握ると、石堂さんがすっと目を細めて柔らかく笑った。

「お前は、俺が思っていたやつとは少し違うみたいだな」

「違うって……?」

私が目をキョトンとさせていると、石堂さんがまたいつもの仏頂面に戻って言った。

「別に、なんでもない。こっちの話、なんかお前見てたら色々吹っ切れた」

石堂さんが、グーッと両腕を上に伸ばして背伸びをした。

「それに、なんだ……色々ありがとうな」

伸ばしきった腕を下ろすと、石堂さんが小声でぼそっと呟いた。

え――?

石堂さんが、私に“ありがとう”って……そう言ったよね――?

「今、なんて――」

「同じこと二回も言わせんなよ」

驚いて私が見つめると居心地が悪くなったのか、石堂さんはぷいっと顔を背けてそっぽを向いた。

あ、耳が赤い――。

明らかに照れている様子に、石堂さんの可愛い一面を垣間見た気がした。