「ほら、これ、お前にそっくりだろ」

クスクス笑いながらカウンターに出されたカップを見ると、それはぷっくりとしたブタのラテアートだった。

「もう、この際美味しければそっくりでもなんでもいいです」

自分にそっくりだと言われたブタでも、飲んでしまうのがもったいなく思えてしまう。けれど、石堂さんが私のために淹れてくれたコーヒーを味わいたくてそっと口に含んだ。

「はぁ、落ち着きますね」

「ぷっ」

「? どうかしましたか?」

カップをソーサーに置くと同時に、石堂さんが私の顔を見て噴き出した。

「お前は子供か? 口に泡がついてる」

「え!?」

すると、石堂さんがカウンターから身を乗り出して手元のタオルでごしごしと私の口を拭った。

は、恥ずかしい――!!

両拳をひざの上でぐっと握り締めて俯いていると、ぽんぽんと頭に手を置かれる感触がした。ハッとして顔を上げると、いつの間にか石堂さんがこっちを見て私の横に座っていた。

「クリスマスメニューは決まりだな、レシピがまとまった。ラテアートもお前のリクエストどおり、クリスマス限定でやってみることにする。インパクトがあった方が限定感でるしな」

「ほんとですか!? クリスマス限定ラテアートなんて、いい謳い文句になりそうですね! クリスマスが楽しみになります」

「まったく……呑気なやつ。お前、足でまといになるなよ? クリスマスはただでさえ忙しいんだから」

石堂さんの鋭い横目が私をギロリと睨む。