乃愛瑠side


「お嬢、お帰りなさいやし。」

乃「ああ。」


声をかけてくれるみんなに適当な返事しかできないくらい今の私には余裕がなかった。


乃「失礼します。」

勢いよく襖を開ければ後藤組の組長と、その側近２名、そして相手をしていた道重の４名が一斉に此方に振り向く。


後藤組組長さんの向かいに正座し頭を下げる。

乃「遅くなり申し訳ありませんでした。」

？？？「いえ、突然お伺いしたのは此方です。お気になさらないでください。」


頭を上げればこれまた吃驚。

若くして組長になったと聞いていたからもっと厳ついきつい感じの人だと思っていたのに結城や隆太を彷彿とさせるぐらい柔らかい雰囲気をした人だった。


黒い髪は少し遊ばせるように跳ねていて可愛い。



？？？「あの？」


っ！！


つい顔を凝視しすぎた！！


乃「失礼しました！」

？？？「いえ、そんなに畏まらないでください。敬語も結構ですよ。」

乃「そういう訳には・・・。」


後藤ぐ・・・・面倒くさいので

後藤さんは目を細め私を見据える。

乃「どうかなさいましたか？」

？？？「いえ、少し２人で話しませんか？」

道「それは！！」

勢いよく立ちあがった道重を警戒するように護衛２人が前へ出る。

？？？「何も争いに来たわけじゃねえ、お前らも下がれ。」

「へい。」


護衛が部屋を出て行く。

どうやら争う訳じゃないことは確かなようだ。