光輝side


光「乃愛瑠・・・。」


手を伸ばしたが届かなかった。

先「あのー・・・。」

俺は達樹に連絡しながら静かに教室を出てたまり場へ向かった。

乃愛瑠に何かあったことはわかってた。

その何かに悩んでいることも。



でも乃愛瑠が自分から言ってほしくて、あいつが話したいと思うまで待とうと思った。

俺の手は、声は届かなかった。


まだまだ頼りないのか・・・。



俺に何が足りないのか・・・。









ぼんやり考えながらたまり場に来ると何故か全員がそろっていた。



光「なんで。」

海「あ?」


少し怒気を含んだ声。


達「何て顔してんですか。」

光「なんだよ。」

達「今にも泣きそうですよ。」



泣く?

明「情けない顔やな~!」

無理矢理作った笑顔を貼り付け俺の背を叩く。

力いっぱい。

こいつも不安なんだろう。


最近は聞かなくなっていた下手くそな関西弁で話している。


やっと乃愛瑠が安心して笑えるようになったのにまた何かに怯えているからだろう。


こいつが関西弁を話すのは場を明るくしようと、自分の気持ちを明るくしようとしている時だ。


そう知ったのは乃愛瑠に出会ってからだったが。