乃愛瑠side


今は本家にいる。

「お帰りなさい。」
「ご苦労さんでございます。」

乃「ただいま!」

みんなは深く頭を下げる。


道「お嬢、お帰りなさいやし。」

でも扱いはお嬢。
けして組長ではない。
前は若姐さんって呼んでくれたのに。やっぱり女じゃだめなのかな…?
命令は私が出すが組長の座は空いている。

もちろんうちの組で狙ってるやつはいない。


私は組長でなくても構わないけど、いつまでたってもこのままじゃ他の組みに舐められちゃう。


道「お嬢、お耳に入れたいことが…。」
乃「何?」
道「後藤が近々うちに来ると」
乃「後藤?」


聞いたことのない名前だ。


道「あー、お嬢は小さかったですからね…。」


いいのかな…と、小さい声でこそこそ何かを呟く道重。
早くしろ。


乃「誰なの?」


一度目線をそらした道重がおずおずと口にした。



道「後藤組の若頭で、お嬢の婚約者です。」
乃「あ、そう。」


はいはい、婚約者ね。
あるよねー、まあ同じ世界の人間だし?あってもおかしくないよねー。

婚約者、婚約者。


私の婚約者。





私の???









乃「婚約者ーーー!?!?!?!?」
道「へい」