「い、いや、怜先輩が抱き合ってたって…
それ本当に怜先輩だった?」
何故か信じていない咲希。
「うん、あれは絶対に怜先輩。
顔も見えた。」
「…んだよそれ。
ふざけんな、あいつ…」
「燎平……」
私の代わりに怒ってくれる燎平。
そんなことが、少し嬉しく感じる。
「私、あの光景を見た時、悲しいだけじゃなくて、すっごくモヤモヤした。
心の中に真っ黒なものが広がっていくような気分がしたの。
なんで…?」
あんな気持ちになるの、初めてだった。
「ふふっ、相変わらず自分の気持ちには鈍感ねぇ。
それは〝やきもち〟よ。」
「やっ、やきもち!?」
咲希の言葉に目を見開く。
だって、今までやきもち妬いたことなんて無かったから。