それなら早めに返しておいた方が良さそうだと思い、俺は紫雨の部屋の扉の前に来た。
「はい。」
インターホンを押して少し待っていれば、紫雨はすぐに出てきた。
「忘れ物だ。」
「それ………っ!」
紫雨ははっとしたように目を見開き、写真を入れていたであろう胸元に手を伸ばして恐らく裏ポケットを探った。
こんな慌てた紫雨、初めて見たな。
「ほら、もう落すなよ。」
「ありがとうございます。」
写真を渡せば、紫雨はその写真を大事そうに両腕で抱えながら心底ホッとした表情になった。
その様子は、その写真が紫雨にとってどれだけ大切なものかが伺え知れる。

