「なぁ………。」
「何か?」
「起きたんなら早く退けてくれねぇか?」
「嫌です。」
頭を掴んで持ち上げようとしても全く退ける気の感じられない紫雨の様子に、俺は早々に退けてもらうことを諦めた。
「あ、そうです。今度から私が仮眠をする時は膝を貸してくださいね。勿論手………膝が空いた時でいいので。」
「交渉を持ちかけられているはずなのに、どうしてもう決定事項みたいになっているんだ………。」
「まぁいいじゃないですか。」
今日、俺の紫雨への認識は公平無私、無欲恬淡から自己犠牲が過ぎる奴となった。
後、意外と強引。
「そう言えば紫雨。お前学校ではコーヒーや紅茶しか飲んでいないし家でも滅多に食事をしないそうだが、こっちに来てからはちゃんと飯食ってるのか?」
紫雨の父親は改善する気はないみたいなことを言っていたが………。

