「…おい。」

背後からだった。
私は小さく悲鳴をあげ、距離をとった。

全然気づかなかった…
どうやら私の背後にいたのは大きな男だった。
真っ黒の髪に真っ黒の瞳。
おまけに、黒いスーツと黒い手袋だから全身黒。

「えっと…。私今から逃げるので見逃してくださいっ!」

私はそう言って、窓を開け、屋敷から出ようとした。