あの日から花音の態度は一変した。

俺に懐いてきたのだ。
今までは無気力な人形のような儚さがあったが、今ではどこまでも着いてくるアヒルの子のようだ。

今日も俺が帰れば、キミはドアまでかけてくる。
そして、勢いよく俺に抱きつく。

「おかえりなさいっ」
満面の笑みで上目使い。
この2つに滅法弱い俺はどうしようもない。


ただ、たまに、君は寂しそうな顔をする。
本当に君が消えてしまいそうで俺はいつもそんな君にキスをする。

『俺がいる』
『俺が君を愛している』

そう伝えるために。