「俺の別邸だ。」

クロは無愛想に一言つぶやく。
別邸…。
すごいなぁ。
でも、そんなことは頭に入ってこない。
「お母さん、なんで…。」

「お前は母親に売られた…それだけだ。」
ぶっきらぼうにそう言うとクロは私を屋敷の中へ誘導した。

「…違う。お母さんは…」
私を愛してる。

そう言いたいのに声に出ない。

「お前は売られた。」
クロは私の手を握り、屋敷内を引っ張っていく。
「…やめて…っ!!」

私はクロの手を思いっきり振り払った。
わざわざ着いてきてくれて、別邸にまで呼んでくれたのに随分自分勝手だって分かってる…でも…