「あんた達ボーッとしすぎよ!」
「…そんな事ねぇよ……」
「うっ…ごめんなさい…」
否定する那くんと、肯定する私。
そんな私たちを見た那くんママは、静かに目の前に来て座った。
「……2人共、萩から話は聞いたの?」
「「……」」
何も言わない私たちの無言は肯定を意味してたと思う。
那くんママが「そう…」と小さく呟いたから。
「萩が意地悪でこんな話を持ち出したわけじゃないって、那も幸も分かってるでしょ?」
「うん」
何も言わない那くんの代わりに私が頷いてみせる。
「あの人も色々考えて考えて、考えて出た結果がこれなの。
……私は萩に、"那は頷かないと思うわよ"って言ったんだけどね。
私はちゃんと知ってるつもりだから。那が誰より幸を必要としてて、誰より幸を想ってること」
「…っ……」
那くんママの言葉に那くんは顔を背けてしまうし、私はどうすればいいか分からなかった。
ただ、あの時の私の考えはみっともない考えだったって事だけ、ハッキリと分かったよ。
そう思いながらもその言葉は喉に引っかかるでもなく、スルリと口から出てきてしまった。
「那くんママは、那くんを連れて行きたくないの…っ?」
「……幸」
「……」
私の名前を呼ぶ那くんの声はどこか驚いてるみたいで。
逆に、聞いた私の声は少し震えてしまった。
だって、もし、那くんママがここにいなさいって那くんに言ったら…。
那くんの事を思ってそう言ったとしたら、私は…私は…っ。


