私は仕方なくひとり帰路を辿る。

自宅最寄りの駅で電車を降り、とぼとぼと歩いていると、先週清瀬くんと話をした公園に差し掛かった。



(あれからまだ1週間しか経ってないんだ…)



あの時やっぱり何があっても清瀬くんとは付き合わない、と決めるべきだったのかな?

そうしたら清瀬くんを傷付けることもなかったのかな?



足元しか見えないほど項垂れて歩く。

夜道が今夜は一層寒々しい。



今頃清瀬くんはどうしているだろう。

そう思うと胸が締め付けられる。



公園の入り口まで辿り着くと、突然眼の前が陰った。



(!)



人通りの少ない夜道で大きな影に包まれて、私はひやりとする。



恐る恐る顔を上げると、



「ちゃんと前見て歩けよ。」



それは清瀬くんだった。



「清瀬くん…」

相手が分かると別の緊張で鼓動が早まる。



そんな私に気付いてか否か、清瀬くんは冗談めかして言う。

「もしかして変質者だと思った?」

「え、と…」

「思ったのかよ。」

「そ、それより清瀬くん、私…」

「話あんだろ?」

「え…」

「塾でなんか聞けねぇだろ?

お前絶対泣くし。」

「!」



そう言うと清瀬くんは公園に入っていった。

清瀬くんがブランコの柵に腰を下ろす。

私はその傍らに立った。