部活を終えて、
マンションに向かってりりちゃんと歩いていると

りりちゃんがハッとなにかを思いだして、
ポケットから一枚の封筒を取り出した。


「あ、そうそう! これ、あずかってたの!」


そう言って、りりちゃんが花柄の封筒を差し出した。


「なにこれ?」


眉を寄せて、その封筒を見つめる。


「玲音宛の手紙だよ。連絡くださいって。

今日、廊下を歩いていたら1年生の子に玲音に渡してほしいって頼まれたの」


「どうしてこんなもの、受け取ったの?」


「可愛い子だったよ。
果たし状ってわけでもないんだし、
そんなに怖い顔しなくてもいいのに。

それにしても、すごいね~! 

玲音、モテるよねっ!」


無邪気に笑っているりりちゃんに、
気持ちが波立つ。


「なんでそんなに嬉しそうな顔してるんだよ」


「だって小さいころから一緒にいる幼なじみがモテるなんて、

ちょっと自慢っていうか、嬉しいっていうか!」


「こんなもの受け取るなよ」


「こんなものって……、一生懸命書いてくれたんだよ? どうしたの、玲音?」


きょとんとしているりり花の無邪気さが辛い。


「……なんでもない。なんでもないけど、
むかつく」


やっぱり、りり花はなんにも分かってない‼