【玲音side】


「玲音以外のひとにあげたりしないよ。

ひとり1個しか持ち帰れないんだよ?」


にっこりと笑ったりり花に、
胸がかあっと熱くなる。


あー、もう、りり花はずるいっ!


さっきまであんなに怒ってたのに、
こんなことされたら嬉しくてたまらなくなる。


口に含むシュークリームが、

ものすごく特別な味に感じる。


「……今まで食べたなかで、
このシュークリームが一番美味しい」


ポツリ呟くと、
りり花が満面の笑顔を見せた。


「やったー‼ もうっ、玲音って褒め上手だよね! だからついつい頑張っちゃうんだよっ」



「それは、りり花のことが、好きだからだよ」



まっすぐに見つめて伝えると、
りり花がいつも通りの返事で答える。


「知ってるよ」


俺を見上げて明るく笑ったりり花がどうしようもなく可愛くて、

りり花をこの腕に抱きしめたくてたまらなくなる。



俺の腕のなかにりり花を閉じ込めて、

他の誰からも隠してしまえればいいのに……