【りり花 side】


「吉川、少しわかってきたんじゃないかな?

最後の問題けっこう難しかったけど、
すらすら解いてたよな?」


「本当⁈ 嬉しいかも! 数学も解けるようになると楽しいね!」


「そうそう! 数学ってさ、パズルとかゲームによく似てるよな!」


「ん~……ごめん、その感覚は全くわからない」


「そうか?」


きょとんとした顔をした瀧澤くんに噴き出した。



「瀧澤くんって面白いね!」



すると、滝澤くんがためらいながら口を開いた。


「あのさ、もしこの後ヒマだったらどっかに寄ってかない?

そしたらもう少し教えてあげられるし、

それに……」



「瀧澤くん、本当に面倒見がいいんだね! 
絶対にいい先生になるね! 私が保証するっ」



「それじゃあ……」


滝澤くんが、パッと顔を上げた。



「でも、帰ったら玲音のご飯を作らなきゃいけないんだ。

せっかく誘ってくれたのにごめんっ」


瀧澤くんに両手を合わせて謝った。


「玲音って隣のクラスの如月のこと……?」


「うん!」


「吉川、飯まで作ってるの?」


驚いた顔をしている瀧澤くんに、胸を張る。



「最近、ちょっと得意になってきたんだよ! 
簡単な料理ばっかりだけどね」


黙り込んでしまった瀧澤くんを不思議に思いながら、一緒に下駄箱まで行くと、

ユニフォーム姿の玲音が立っていた。