「待ち伏せされたり、呼び出されたり、
休みの日に誘われたり…、迷惑だったんだ」


黙ったままじっと玲音を見つめた。


「ああでも言わないと、
やめてくれないと思ったから」



「あの先輩たちが駅のドラックストアでやってることって?」


「サッカー部の先輩たちが噂してたことを適当に言ってみただけだよ。

詳しいことは俺も知らない」



そう言って両肩をすくめて

いたずらな顔をした玲音が、
目じりを下げて頬を緩ませた。




「怖かったね、りりちゃん!
りりちゃんの顔見たらホッとした 」


そう言ってぎゅっとしがみついてきた玲音に
肩の力が抜けた。


よかった、いつもの玲音だ…


玲音の背中をポンポンと叩いて、
ふーッと長い息を吐いた。


「怖かったね…
本当にびっくりした…


でも…先輩たちにあんなこと言っちゃって、
大丈夫かな?」


今更ながら不安になってきた。


「大丈夫だよ」