「この部屋を出たあとに魁を連れて朱雀のいるところに向かったんだ。
着くなりすぐに、連れてった護衛の1人が打たれてな。油断してた。裏切るとは思ってなかったんだ。
まんまとやられた。魁を……若頭の護衛兼秘書だったのに………守れなかった。すまない」
当たっていたようだ。
ほんと……嫌な予感だけはいつも当たる。
「そんなこと……」
そんなことない。
魁さんをずっと守ってきたのを私は知ってる。
魁さんが危ない時に守ってきたのを身近でみたこともある。
だからわかる。
隆さんは守れなくて悔しいと思うのと同時に、しっかりしなきゃという気持ちもあるんだろう。
涙を我慢してるように見える。
私はと言うと、なぜか冷静で何となくこうなることを分かっていたのかもしれない。
でも、魁さんなら戻ってきてくれると信じていたからショックと言ったらショックで、悲しかった。
それでも、私の頭の中は冷静で、誰が殺ったのかなんとなく分かっていて。
いつか、こうなってしまうことを考えていたからなのかな。
涙なんかでてこなかった。
「まなちゃん……魁の分も俺に君を守らせてくれないか?魁と約束したんだ。まなちゃんをよろしく、って。
俺がいなくなればあの家の中で会話できるやつはお前しかいない。まなちゃんが警戒を解いてるのは俺と隆、お前だけだ、って。
俺の中で、俺の知る女の中であいつが1番なんだ。好きとかそうゆうもんじゃない。
大切なんだ。自分の命よりも。って言ってた」
