はじめの頃と比べて敬語はなくなった。
敬語はやめろと言われたからだ。
それも、殺気を出して言うもんだから私は折れた。
「それで、なにがあった?朱雀は……撒いたのか?」
「玄関出てから誰かにあとを付けられた。朱雀は朝、いなかった」
「それで、走って戻ってきたのか?」
「うん」
「そうか。今日は家にいろ」
そう言って立ち上がった。
「どこにいくの?」
「朱雀をしばいてくる」
お、怒ってる。
「い、いってらっしゃい」
「あぁ。ちゃんと帰ってくる」
魁さんがいつも私を置いて出かける時にいう言葉だ。
「うん」
施設育ちだから、自分を置いてどこかに行かれると戻ってこないんじゃないかって思ったのが伝わったらしい。
それからというもの毎回言ってる。
それが最後の会話だった。
それから、夜になっても魁さんは帰ってこなかった。
次の日も。その次の日も。
魁さんと隆さんが行ってくると言ってから1週間がたった日の夜。
時間は23:00頃だったと思う。
魁さんの秘書兼専属の護衛だった隆さんはボロボロの姿で帰ってきた。
