白い虎と蝶 ~絆~



「携帯っすよ」



慧が携帯をフリフリと揺らしながら言う。



組長と隆だけが理解をしていないようだった。



「隆。かなに携帯渡したの忘れたのか?」



慧が持っていた携帯は本来隆がかなに渡したもの。




「あ……。ってことは、かなの携帯、取られたのか?」



「あの携帯か?」



「おそらくは」



「………あっははははは」



組長は大声を出して笑った。



なんでそこで笑うんだ?



俺たちは目を丸くした。



「はぁー……笑った笑った。そうかそうか。あの携帯を取られたのか」



「あの携帯に何かあるのか?」



なんだ知らないのか?と言いながら続けた。



「あの携帯にはな、魁の写真と隆の写真、あいつにとっての魁と隆との3人の思い出がいっぱい詰まってる携帯なんだよ。



壊れても写真はデータだからって言ってもあの携帯で撮ってここにあるってことに意味があるんだと」



そっか。



今は亡き魁さんと隆との思い出、か。



「取り返しに行こう。朱雀のところに」



「いまかなが行ってるんだろ?お前らが行く必要はない」



「どうゆう意味だ」



「かなはここに戻ってくるって言ってんだ」