勝てるかな。
隆さんや白虎を殴るなんて出来ない。
「着いたよ」
昇太がドアを開けてくれた。
「…………」
「はい」
「…………」
差し出された手を見つめる。
「どうぞ?」
「…………」
いらない。
1人で降りられる。
私は差し出された手を無視して自分で降りた。
「女の子なんだから、親切にされたら素直に受け取った方がかわいいよ?」
「…………」
可愛いなんて思われなくていい。
そんなの求めてない。
「行くぞ。昇太」
「わかってるよ珱次」
着いたって言ってたけどここどこ?
見たことの無い景色がいっぱい広がっていた。
「来たね」
見たことがない建物ばかり。
周りにはヒビの入った壁が続く。
朱雀の声がするのに姿が見えない。
「全く。またあんなことして」
