「そっか。よかった……」
かなめが答えるまでの間が気になるけど、かなめと兄妹でよかった。
それは素直な私の考えだ。
かなめの腕の中にいた私にはかなめの表情は見えていなかったから気づかなかった。
かなめが下唇を噛みしめて複雑な顔をしていたことに。
トントン。
「つばきちゃーん、隆だよ。ご飯できたけど食べる?あと一緒にいる一応の病人にはお粥作ったけど食べるか?」
隆さんの声が少しずつ低くなっていく。
「た、食べます」
「…………」
そう言えば何も食べてなかったな。
隆さんの料理は美味しいから、楽しみだ。
久しぶりに隆さんの料理が食べられる。
私はウキウキ気分で部屋の扉を開けようとする。
でも、開ける手前で一つ気になったことがあった。
「隆さん、なんで私の本名で呼んでるんですか?」
かなめが何も話さなかったのはこれが原因かな?
隆さんと会話する時は大抵私よりもかなめが先に応えるのに。
隆さんは誰かがいる時いる可能性がある時は私のことをつばきとは呼ばない。
家にはほかの人ももちろんいるし、かなめだっている。
