何かが、ちが、う。



力が……はいん、ない。



「かな……め…………」



やっと離れたお互いの唇。



足に力が入んなくてかなめに寄りかかる形になってしまった。



「はぁ……はぁ……はぁ……」



なんで……こんな。



こんなこと……!



私は足に思いっきり力を入れてなんとか、かなめから離れドアに寄りかかった。



かなめがおかしい。



自分から私に触れる時は私が荒れている時ぐらいだ。



どうなるかわかってるから、無理にかなめからは触れてこないのに。



かなめに平手打ちをしようと手を上にあげる。



でも、できなかった。



かなめの今まで私にしてきてくれたことを思い出すとできなかった。



「いくな……つばき…………俺を置いてどこに、いくんだよ」



…………え?



かなめが私の手を握りながらそう言った。



「家族が……離れ離れで……いいはずが、ない……だろ………」



かなめはそのまま気を失ってしまった。



床に倒れる前に足を踏ん張り、かなめを支える。



だけど、私の力だけではちゃんと支えることができず、結局かなめを支えたまま壁に寄りかかる形になってしまった。