「………は?」



「ないの!私の携帯」



あそこに行くまでは持ってたはずなのに……。



携帯が入っているはずの場所に重みがなかったから立ち上がった時に気づいた。



寝てる時はあんまり違和感なかったけど、立ってからおかしいと思った。



いつも携帯を入れてるところが今は軽い。



ポケットを確認すれば携帯は入ってなくて、中には何も入ってなかった。



「そう言えば、あの日、お前の携帯から連絡が来た。多分あいつが持ってるのかもしれない」



「…………早く取り返さなきゃ」



「は?新しいのでも」



「あれじゃないといけないの!」



「なんでだよ」



「だって……あれには」



あれには、あの写真が………。



「とにかく、あの携帯じゃなきゃいけないの。ダメなの」



早く取り返さなきゃ!



これ以上、触れさせたくない。



こんなところでのんびりしてる暇なんかない!



とりあえず、私の家に戻って準備しなきゃ。



この服装じゃダメだ。



新しい服にしなきゃ。



私のじゃない血もついてる。



「お、おい!」