俺はまだまだ聞きたいことがあるのに、何故か何を聞いていいのか分からない。
「....西条君。今日は帰ってくれない?私、やりたい事があるし....」
「え?大丈夫なのか?一人の方が精神的にヤバいと思うんだが。」
「ううん。大丈夫じゃないよ?一人の方が怖いに決まってる。だけど、これ以上迷惑はかけられないし、西条君に話して少し気が楽になった。
本澤君の所行った?」
「いいや。まだだけど...」
「なら行ってよ。いつも一緒にいた親友でしょ?行きなさいよ。」
千恵は本当に楽になったのか、いつもの調子に戻っていた。俺は彼女の意志に従って「分かった」と言って部屋のドアに手をかけた。
手を掛けた直前で俺は千恵に呼びかけられて後ろを振り向く。
「ありがとう西条君。普段の学校生活を見てるとどこか無気力で、人としての何かを失ってる人だと正直思ってた。
だけど、昨日の本澤君と青山君の間にも入ったり、特別な絡みも無いのにこうして来てくれたり...西条君は優しいんだね。」
千恵からの意外な発言に顔が段々と熱くなっていくのを感じる。俺は「....おう」と小さく一言残すと逃げるように部屋を出た。
その勢いで大きく音を出しながら階段を降り、そのまま外に置いてある自転車まで直行した。



