恐怖の渦の中


「いいや。挙動不審だ。いつもの堂々とした千恵じゃない。お前はあの時何か見ちゃったんだろ?他人には見えなくて、自分だけが見え」


「何も無いっていってるでしょ!!??」



千恵は我慢出来ず、鋭く勢いのある声を出した。その勢いに乗って立ち上がり、拳を握っていた。


「私は昨日起きた事で頭がいっぱいなの!!西条君が矢野さんの為に犯人探しをするのはいいけど、いい加減なデタラメ付けて攻撃してくるのはやめてくれないかな!?私は矢野さんについて何も知らないし、西条君が期待している"女の人"なんて見てなんかないし、知らない!!」


千恵のこの勢い様、やはり黒だ。
俺は確信すると、一旦間を作って話しかけた。


「....なぁ千恵、俺見たんだよ。里沙が死ぬ時、ひとりでに剥がれていく頭皮を。変な事を言ってると思われるかもしれないけど、俺は自分の見たものを疑わないし、何なのか知りたいんだ。
お前が口を開けないのは「どうせ信じない」って思ってるのかもしれん。だけど、俺は信じてやれる。
俺は里沙の説明出来ない死に方と、お前の言う"あの女の人"が関係していると思ってるんだ。....な?話してくれよ。」


千恵は緊張気味になり唾を飲み込む。俺にまで聞こえる大きい音で。