目を開けるとそこは薄暗い部屋の中だった。何処にも光は灯されてはいなかったが、カーテンから"開いてくれ"と言わんばかりに、自分の身体を透かして光を入れ、俺にアピールしていた。
そのアピールを断る意味もなく、身体はダルいがヨタヨタと歩いてカーテンを開けてやった。

今まで押し込まれていた光が解き放たれたように、強い光が俺の目を刺激する。
数秒は目を開けられなかったが、俺はうっすらと目を開けて、外の光景を見た。

外は強い日差しに照らされており、ご老体の人が点々として歩いている。休日にも平日の朝にも見ない光景。休日ならば子供が大体はしゃぎながら遊んでいるし、平日の朝なら登校している学生や出勤している社会人などが目立つが、今回は見事にご老体しか見なかった。

それも当然、今は平日の午後だ。部屋に飾ってある丸型の大きい時計を見るともう二時を過ぎている頃だ。まだパジャマ姿であり、とても平日の学生に相応しくない格好をしている。これもズル休みなどでは当然ない。今は自宅待機だった。

昨日の惨劇があり、学園祭は延期になり、暫くの間学校は休校で自宅待機の状態だった。
あれからすぐに警察や救急車が入って大騒ぎになり、まだ意識が戻っていない敦、薄らと意識を取り戻した千恵、殴られた吉永、頭が開いた里沙のことは分からないまま帰宅した。