「はぁ〜....死にそう...はぁ〜。...もうこれから楽しみなくなった。学校もういやだわ〜」



チャイムが鳴り響いた直後に隣にいた奴はそんな事をブツブツと念仏のように言ってくる。授業終わりの休み時間。生徒にとっては貴重な時間をわざわざ他人の不幸を汲み取る作業をするのはもった無く感じて、聞こえなかった風にして本を取り出してページをまくる。

今は二時間目終わりの休み時間。前の休み時間にも本を読んでいて、とても気になる所でチャイムがテレビのCMのように区切ってくれたお陰で授業は全然頭に入らなく、次の展開がどうなるかという予想ばかりが頭を動かした。
そのドキドキ感とワクワク感を抱いてこの休み時間を迎える筈だが、軽いハプニングが起きてしまった。

だが、そんなハプニングなんて気にしないようにして、栞で挟んである未知の世界に早く潜り込みたくてウズウズしている。
慣れた手つきで栞が挟んであるページを開き、すぐに物語の世界に入り込む。

その際、さっきのハプニングのこと、教室のザワザワとする雑音、三時間目の授業の事は完全に頭から切り離された。



「おーい。聞いてんのかよ?親友がこんなにも落ち込んでんのにその態度はねぇだろ〜?まじで辛いんだからよ〜助けてくれよ〜」