教室は既に血で埋め尽くされていて、文字通り真っ赤っかだった。

すると廊下に集まっている生徒の山を押しのけて、生徒指導部の先生が次々と教室内へ入った。最初は教室内の光景に唖然としたが、すぐに行動へ出た。


「皆!早くこの教室から出なさい!!津地先生も静一先生も早く出て!おい西条、お前は敦を!斐川と月璃は笹井を保健室まで連れていけ!!」


俺はハッとして敦の方へ目を向けると、敦は気を失っていた。千恵もそうだった。
俺は先生の指示にすがるように従い、敦の手を肩へ回して保健室まで引きずるようにして向かった。流石に一人で持つのは辛いし、体格差があったので、保健室まで着くのには時間がかかった。
俺が保健室に着いてから数分して月璃が千恵をおんぶして、加奈がそれを抑えているという状態で現れて、静かに布団へ寝かしてあげた。

あまりにも必死であまり実感は無かったが、落ち着いてみると震えが止まらなかった。月璃と加奈も身を近付けてガタガタと身体を動かしている。

一体何が起こったのか、里沙の奇行は何なのか、理解できない事が多すぎて、俺の頭の中はいっぱいだったが、一つだけ理解した事がある。それは生まれて初めて人が死ぬ所を目撃したということだけだ。