普段の里沙は元気で優しく、クラスのみんなから人気があり愛されていた存在だった。そんな里沙が今では友人を殴り、発狂しながら威嚇をしている。


「あなたの目的は何!?どんな得があってこんな事するの!?」


里沙はその言葉を最後に椅子を振り回すのを止めた。すると、里沙はスルスルと椅子を離して、正気へ戻ったのか血を流して倒れている吉永を見て涙が次々と溢れて、泣き崩れた。


「里...優?里優.......里優ぅぅぅ!!何で!!何でこんな....」


里沙は今度は暫く泣いていたが、段々叫び声となり、発狂まで至った。
俺達は彼女の奇行に威圧されて、見るだけしか出来なかった。


「ああああああああ!!やめて!!やめてぇ....いやだいやだいや」


彼女は今度はさっきまでの強気は失せて、弱気な叫び声を出した。脅えたり、暴行したり、泣き出したり、発狂したり、彼女の意味不明な行動はこのまま永遠と続くものだと思えた。だが、それはある一つの音で彼女はピタッ叫び声も動きも止まった。

"ピチャッ"という水が一滴落ちた音がした。その正体はすぐにわかった。里沙の顔の横からは赤い液体が垂れていた。それは頭の方へと続いている。
里沙は震える手でその赤い液体を触れて、液体の付いた手を見つめた。