千恵がこの状況に我慢出来なくなり、叫び声を上げるとそれに合わせるように他のクラスメイトも騒ぎ始めた。静一先生は吉永に覆いかぶさるような形で吉永に声を掛けた。
「吉永さん!?吉永さん!!私の声が聞こえますか!!?」
「何なの里沙!!どうしちゃったの!?」
「辞めてよ里沙ぁ!何でこんなこと...」
クラスメイトが困惑と悲痛の叫びを里沙にぶつけるも里沙は硬直したままだった。倒れ込む吉永をクシャクシャに乱れた髪の間から見つめ、"やってやった"といった不気味な笑みを描いて見下していた。
周りをチラッと見ると、騒ぎを聞きつけた他の生徒がザワザワとしながら、こちらを見ていた。敦は目を点にして見つめるだけしか出来なかった。
ようやく津地先生がヨタヨタと震えながら里沙の方へ近づいていったが、里沙はそれを見逃さずに椅子を振り回した。
「来ないで来ないで来ないでぇ!!来たら殴って殺すから!!絶対に殺すからぁ!!何で今まで姿を消してたのに今頃来るの?私はあなたの道具じゃない!玩具なんかじゃない!!いつまでも抵抗しないと思ったら大間違いだからね!!」
そんな事を言いながらブンブンと椅子を振り回すのを止めない里沙に俺達は驚愕していて、棒立ちだった。



