里沙の異変に周りのクラスメイトが気付くと、そのまま波のように里沙の異変に気付いてくるクラスメイトが増えて、遂には先生も気付くようになった。
「や、矢野さん?どうしたの?窓になにか付いてる?」
津地先生が優しく心配そうに声を掛けた次の瞬間、里沙は弱々しくなっていた目を思いっ切り見開いた。
「いやああああああああああああああああああああ!!!」
里沙の叫び、それは俺達クラスメイトと先生に落雷が落ちたかのような衝撃を受けた。
里沙は窓を見ながら叫び、椅子を倒しながら立ち上がり後ろへ下がっていく。
「いやだいやだいやだ!!!何でいるの!?なんで何でなんで!!!いやだ!いやだ!いやだいやだいやだ!!!」
同じ事を何回も連呼して叫び続ける里沙に誰も近寄ってやれなかった。その異常な行為に皆唖然としていた。静一先生を残しては...
静一先生は緊張している顔をしながら、里沙に近づいていった。
「や、矢野さん?どうしたんですか?落ち着いて矢野さん。」
静一先生の声を聞いた里沙は叫び声をピタリと止めて、迷子になった子犬のような表情で静一先生の方を向いた。助けを懇願する弱々しい目で。
だが、その表情はほんの一瞬で、すぐさま恐怖に脅える顔に元通りになってしまった。



