皆に言っているよりかは自分に言い聞かさせているようなか細い声を、一体この中で何人が聞き取ってくれているのだろう?
皆、それぞれ緊張そうな気持ちをしていたり、友達とネガティブな会話をしていた。
体育館から静一先生が出てくると全員の視線が一斉に集まった。
「今から始まるよ。全員位置についてね。」
千恵と変わらないくらいの静かな声だったが、全員の耳に静一先生の言葉は入っていた。
相変わらずのざわめきの中、色々な表情を浮かべながら体育館に入っていった。
俺と敦はそれぞれステージ裏の階段を登って、スポットライトの場所に立った。
会場ではクラスを紹介するムービーが既に流されており、自分の位置に立って一呼吸するとムービーは終わっていた。
「さあ、それでは!続いては二年生の発表に移ります!二年A組の皆さん!!発表をよろしくお願いします!!!」
生徒会の司会の女子が高らかな声と共に幕が上げられ、観客一同拍手で迎えられた。薄ら見える体育館内には、上から見ないと分からないほど人でいっぱいだった。これはもしかしたら去年より多いかもしれないくらいのレベルだった。
幕が完全に上がるとステージに敦の照明が当てられた。その姿を見て、俺は慌てて照明を付け、敦に被せるようにステージに当てた。



