この青山の挑発的な言葉に食い付いてくると思いきや、敦は冷静だった。
恐らく里沙というワードがとても効果的らしい。
「あぁ、そうだな。本当にコイツが居てくれて助かるよ。さっきは悪かったな。」
そう言い残すと敦は自分の席に腰を下ろして、携帯をいじりはじめた。その姿を見た青山は、呆れている表情を浮かべながらため息を軽く出した。
俺は敦にくっついていくようにして、自分の席に腰を下ろした。
「....ありがとな栄治。俺、頭ん中いっぱいになってたわ...」
敦らしくない優しい声で言われて、俺は大変な違和感を感じられた。だが、気分は悪くは無い。
その後はさっきの出来事を知らないクラスメイトがゾロゾロと教室へ入り、それぞれ話していた。この光景は一見昨日と何ら変わりは無いが、皆どこか緊張気味だった。
まぁ千恵に関しては言うまでもない、今すぐにでも死にそうな感じだ。
だが、中には緊張なんてする必要のない人物もいる。
こんな時にも難しそうな本を読んでいる青山と加奈、ボーッとしている奴らも多々いた。
すると、いつもより少し早いタイミングで静一先生が入ってきて、みんなを座らした。
「先生〜。いつもより早くないですか?」



