恐怖の渦の中


「え?ええ?ど、どうした!?俺何かした!?ご、ごめん!本当にごめんなさい!!」


「ち、違うよ本澤君。....本当に...私....どうしちゃったんだろ?.......皆が心配してくれたり、優しくしてくれて....本当に嬉しい。...でも変だよね。泣いちゃうなんて....」


「そ、そんな事ないよ!俺だって嬉しかったら泣くし、あの栄治だって泣くよ。ほら栄治!そんな所にいないでここに来いよ!」


あんなに来るなと言っていた癖に、流石に我慢出来なかったのか、俺に助けを求めてきやがった。俺だってどうすればいいのか分からないのだが、あそこまで言われてしまったし、敦の頑張りを一応讃えて俺は駆け寄った。

だが、里沙はもっとボロボロと泣き出して、どうすればいいのか分からなくて、二人して困ってしまった。


「ほら栄治。お前もなんか言えよ。」


敦は小さい声で言ってきた。俺はそれを渋々了解した。


「や、矢野さん?俺だって心配だった....よ?...うん。まぁ、もう泣かないでさ、クラス一丸で前向いていこうよ。」


「西条君も?....本当に...本当にありがとう....」


言ってから気付いたが、本当に自分で言って意味がわからなかった。