その人はリビングのドアの目の前で、こちらを向きながら棒立ちしていた。

白い服に黒く長いボサボサの髪の毛、手は黒く澄んでいて汚い。そして血がその白い服に多く付着していて、ほぼ真っ赤。
髪の毛も血が固まったのか、何本か束になっていた。


この日の事を私....いや、全世界は忘れることはない。目の前に立っている人の姿も、テレビの出来事も。
そして同時に、この日に死んでおけば楽だったとも思っていた。


人類は進むとも考えてなかった絶滅という二文字のゴールへの道のりを一歩、踏み出してしまった。