その笑顔が今の私達にとって不快でしか無かった。
私は別のチャンネルへ切り替えようと、リモコンを手に取り、テレビを向けるとある人物の顔を見て、チャンネルを変えようとする手を止めた。
私の反応にお父さんは首を傾げていた。
「どうした?変えないのか?チャンネル。」
「お父さん...あの人....」
私が指差す所をお父さんは目を細めながら見た。すると、お父さんも気が付いたのか目を大きく見開いた。
「この人...栄治の副担任の静一先生じゃないか!!行方不明者の!」
「うん!!絶対にそうだよ!」
「よ、よし!会社は休みだ!今すぐそこに行こう!何処だ!?」
「ま、待ってお父さん!なんか変だよ....」
「変?」
私が着目したの静一先生の格好。全身黒く、銀色のネックレスを掛けていた。そして他の人と違って、彼だけ無表情。その目線の先にはニュースキャスター。何かを狙っているのは間違いない。
そう思っていると、ニュースキャスターが報告を終えようとした瞬間、静一先生は人混みから飛び出して、ニュースキャスターの首元を捕まえた。
「キャッ!!な、何あなた!?離してよ!!だ、誰か!?この人離して!」



