敦はそう言い残すと、くるりと振り返り一歩踏み出した。だが、次の二歩目はまた俺の方向に向いて、俺を睨みつけながら指を指した。
「後、俺が話しかけてる最中邪魔すんなよ?それでダメだったらお前のせいだからな。
そん時は月一で映画奢れよ。」
俺はそのくらいでいいのかと思いながらも、分かったと返事をした。
返事を聞いた敦は満足そうな顔をした後に、息を思いっ切り吐きながら、ぎごちなく歩いていった。
気が付くと敦の前からはゾロゾロと係で残された生徒が出てきた。
敦は緊張と焦りでピタリとその場で止まると、振り返って俺の方まで猛ダッシュしてきた。
「何だよ。行くんじゃなかったのかよ?」
「おぉ...そのつもりだったけど、少し人数が多いからなぁ〜。ここで見つけたら行くわ。」
敦は十八番の言い訳を並べると、身を縮こませて俺の隣に座った。
数分後、生徒がゾロゾロと出ていったが結局里沙の姿は見えなかった。
里沙も係当番らしいし、先生との会議で一緒に聞いてたのを見たと敦は言うが、本当にそうなのか少し疑い始めた。
すると、そこで生徒玄関から一人校門目掛けて歩いてきた。



