「恐れろ恐れろ恐れろ恐れろ恐れろ恐れろ恐れろ恐ろしい恐ろしい恐ろしい恐ろしい恐ろしい恐ろしい恐ろしい恐ろしい恐ろしい怖い怖い怖い怖い怖い死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理呪呪呪呪呪呪呪呪殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して」


耳を塞げどもそれは聞こえてくる。まるで耳の中から囁かれている。その言葉は粘土をこねるように、俺の頭の中を駆け巡り、おかしくしていった。
何も抵抗出来ないという苦しみが俺を弱くしていく。

耳元の囁きが治まり、俺は身体をゆっくりと伸ばし、恐る恐る周りを見渡す。
目の前には鬣犬が立っていた。そしてユラユラと歩いてくる。黒い手をコチラに伸ばしながら。

ふと和一先生の腕時計が見える。時間、どのタイミングから始まったのか分からないが、これが最後とどこか確信していた。
確信すると、俺は"生きたい"とか"死にたくない"、"助かりたい"という願望が毛ほども湧いてこなく、俺は悟り、諦めていた。

もう逃げられない、どうしようもない。解決策も何も無い以上、俺が助かる道はなかった。なら、この数秒か数十秒で何が出来るのか。

俺は相変わらず目を開けてくれない加奈を見つめた。