黒いローブに黒いマスク、黒い靴に黒い拳銃。その人物は黒一色に染まっていた。ただ違う部分は銀色の高そうなネックレスを着飾っていた。印象としては過激派の教徒のようだった。
その人物は何も発せずジーッとしていたが、コチラに顔の向きを合わせると、肌色の右手でマスクを取り外した。その人物は想像すらしてなかった人物、俺は目を点にしてこれも幻覚なのではないかと疑った。
和一先生を殺した異様な雰囲気を漂わせた人物...
「し.......静一...先生?」
黒いマスクの裏にはいつもよりもっと冷たいような顔つきをしていた静一先生の顔があった。薄目で、コチラを観察しているような感じがした。
「な、何でここに静一先生が...助けに来てくれたんですか?」
なら逃げてくれ、呪いがあなたにもかかってしまう。そう言おうとした刹那、静一先生は無言で俺から目線を離さず後ろへ下がっていった。
慎重な足取り、なにかに躓かないようにゆっくりと下がっていく。躓きたくないような素振りをしているのに、何故俺から目線を外さないのかが分からない。
静一先生の謎の行動に俺は呆気を取られていた。
やがてドアまで同着すると、またも俺から目線を外さずにドアノブを触り、部屋の外へと出ていった。



