「病院でそのまま呪いで死ぬのは一番ダメな事なんでな。回収せざる得なかった。
後残ってんのは....君達の副担任の静一先生か...電話しても出ない、どこにいるのかも分からないが...時間の問題だな....」
和一先生は煙草を地面に捨てて、それを靴ですり潰した。
「...それより栄治君、斐川さんをここへ持ってきたのは君への敬意と配慮なんだぜ?」
「敬意と....配慮だと?」
「君はよくやった。何もわからない状態なのにここまでやってこれた。だから俺は自分の知ってることを態々話した。
あと、斐川さんに告白されたんだってな?潤平君から聞いたが、満更でもない感じだったじゃあないか。
分かるよ。告白されたらどんな相手であろうと意識は変わっちまうもんだ。
本来なら別々の部屋で殺すんだが...君が少しでも報われればって思ってな。だから生かした。その傷を止血程度だが治してやった。」
「....そりゃあどうも...」
「...さて栄治君。そろそろ時間だ。...終わらせようか。」
和一先生は腕時計を見ながら、もう一つの裏ポケから拳銃を取り出した。銀色に輝き、自分の姿が映るくらい綺麗だった。
「君のタイムリミットはもうすぐだ。今、君視点で鬣犬は何処にいる?」
俺は自分に向けられている拳銃から目をそらし、鬣犬の方を見る。



