俺は黙り込んでしまった。声も聞きたくない、俺の憎い殺人鬼。だが、知らずには死ねなかった。
「今回の君達の探索は俺にとって、思ってもみなかった報酬ばかりだ。
一つ目は鬣犬のこと。名前すら分かんなかった鬣犬の生き様、生き霊、実験全て分かった。気になるワードがいくつかはあったが、それはアイツを成仏させてからにするよ。
そして二つ目、これは呪いの法則をより確定化出来たことだ。」
「どういう意味だ?呪いの法則は分かったんじゃないのか?」
「あぁ、分かっていたつもりだった。だが違う。
呪いにかかるのは対象者が死んだ瞬間を目撃することと、屋敷内に入った者というのは前々から分かっていた。だが、君達のおかけで利用した女は鬣犬を見たということが想像出来た。
死ぬ瞬間を見たものは必ず鬣犬が一度姿を現す。
鬣犬を見ることから始まる。
....だが、もう一つあったんだ。呪いにかかる法則、きっかけがもう一つ...分かるかい?」
今までは大体だが検討がつくようなもの、だが、今回のは違う。呪いにかかる法則がもう一つあるということは、俺たちは鬣犬を見る以外の共通点があるということ。
鬣犬を撃った仁、七年間苦しんだ矢沢さん、利用された女の人、その人達との共通点が分からなかった。



