恐怖の渦の中


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俺は昨日と同じくして、肌寒い夜の学校で校門の門の所に座り、携帯をいじりながら一人待っていた。
今日は温かい缶コーヒーは手元にはなく、どんどんと冷えきっていく携帯しか無かった。

暇潰しとはいえ、手元が段々と冷たくなると、少しイラつきを覚えるが、これくらいしか時間を潰せるものが無かった。

俺としたことが本は教室に置いてきてしまった。基本家では見たいテレビ番組を見て、風呂入ったり飯を食べた後はテレビと携帯を使い、そのうち眠くなるから寝るといった日常。
学校へ行くと、家とは違ってそれなりのスイッチが入るので、そういう状態じゃないと全然読書に集中出来なくなってしまう。

だから本を教室へ置いとくのはいつも通りだったが、待ち時間があるとなると話は別だ。

携帯の充電もそんなに長く無い。これが無くなったら、屍のようになってしまうと悟り、充電が減るスピードを早めないように、いつもは使わないクソつまらないアプリで時間を潰した。


それから数分していよいよ携帯の充電が一桁まで来て、焦っていた所で後方から走っている足音が聞こえた。
振り返るとそれは急いで走ってきた敦だった。

俺が待っていたのは敦が係だったからだ。