恐怖の渦の中


聞こえるのは液体が飛び出る音だけ。それだけが虚しく聞こえ、俺は必死に呼び掛けた。


それから俺は警察に連絡を入れ、仁の自宅へ向かわせた。それと同時に俺は事情聴取をされた。俺は気が気ではなく、とても話が出来る状態じゃなかった。仁が死んだと分かる時まで。

仁は自宅で頭が割れた状態、死体で発見された。近くに凶器らしきものはなく、目の前には携帯があったらしい。

俺はそこから数日間はとてもじゃないが仕事が出来なかった。家族同然、いやそれ以上の存在が消えたショックは大きかった。

俺がもっとしっかりしてれば、あいつの側にいてやれば、気付いてやればと自問自答の日々。だが、ある時ふと思う。
何故アイツが誰よりも人に尽くしてきたアイツが死ななければならないのか、殺しの方法は?犯人は?っと。

俺は仁が言ってた女の人、鬣犬について詳しく調べた。ネットに潜り込んだり、聞きこみ調査、遂には警察に賄賂を渡して情報提供させて貰うこともした。
それで俺は仁だけではなく、同じ死因が何人かと自殺者は鬣犬の事件と関係していて、どんどん死んでいることを知った。

これは俺は一種の呪いと確信した。自殺者は呪いに耐えられない人間、そしてこの呪いは散々対象者を苦しめ、最終的着地点は頭が割れて殺される。
そして考えた。呪いの法則、鬣犬の目的とかな。